人工甘味料と砂糖、どちらが良いのか

コラム

【糖質制限基本の「き」・28】

こんにちは。株式会社アスクレイ代表取締役 医学博士 松田 俊哉です。

糖質制限生活において、強い味方になってくれるのが血糖値への影響が少ない甘味料です。
ただ、人工甘味料はその危険性がしばしば話題になっています。

今回は、人工甘味料は本当に安全なのか、糖質制限に取り入れて問題ないのかをお話しようと思います。

人工甘味料とは

人工甘味料とは、化学的に合成された甘味料です。

糖アルコール、合成甘味料が人工甘味料にあたり、カロリーを抑えた砂糖の代替甘味料として使用されています。
糖アルコールにはキシリトールやエリスリトールがあり、合成甘味料ではアスパルテーム・サッカリンなどがあります。

現在日本でよく使われている人工甘味料の一つに、エリスリトールというものがあります。
エリスリトールは果物や発酵食品から抽出された天然由来の甘味料で、カロリーは0です。
体に入ってもほとんどが小腸で吸収されて血中へ移動し、そのまま尿で排泄されるため、エネルギーになりません。
そのため砂糖と置き換えることで肥満の低減・血糖値低減に効果的です。

エリスリトールはアメリカの食品医薬品庁FDA、ヨーロッパの医薬品庁EMAともに「上限量を設定する必要がない」というカテゴリーに分類されている安全な食品と言えます。

エリスリトール以外では、アステルパーム、スクラロース、羅漢果エキスなどがあります。
このうち羅漢果エキスは天然由来でエリスリトールと同じく上限を設定する必要がないとされていますが、アステルパームとスクラロースについては、上限量の設定があります。

人工甘味料の危険性

人工甘味料と聞くと「発がん性」があるというイメージの人も多いかもしれません。
これは人工甘味料のサッカリンが、「動物実験の結果、発がん性リスクが高まる」という研究からきています。
ですがその後、人間に対する発がん性はないとの結論が出されています。

アステルパームに関しては、WHOが人に対して発がん性があると分類しましたが、1日の摂取量を体重1kg当たり40mgとしています。
たとえば、アスパルテームを含むダイエットソフトドリンクの缶の場合、他の食品からの摂取がないと仮定すると、体重70 kgの成人が 1日の許容摂取量を超えるには、1日あたり9~14缶以上となります。

1日で9本以上もジュースを飲む人はあまりいないと思いますので、リスクは少ないと言えます。

また、最近になってエリスリトールの心血管疾患との関連性が疑われる論文も発表されていますが、その証拠は決定的ではありません。

砂糖の危険性

では、人工甘味料を使用せずに砂糖を使用する方が良いのでしょうか?

砂糖の過剰摂取が肥満、2型糖尿病、心血管疾患などのリスクと関連していることはすでに知られています。
肥満も糖尿病もガンとからんでいることはわかっているので、糖質の摂取量が多い人ほどガンになりやすいとも言えます。
さらに最近はアルツハイマーや統合失調症とも関係が深いことも指摘されています。

また砂糖の摂りすぎによりビタミンB1が不足しがちになります。
それによってうつ、疲労、めまい、貧血、頭痛、浮腫、心疾患、脳疾患などの症状を引き起こしやすくなると言われています。

人工甘味料を使用するメリット

砂糖をたくさん使用することなく、微量で砂糖と同じ甘さになるのがメリットです。
また、血糖の上昇が起こらないため糖尿病の患者さんなどで血糖値の上昇を抑えたい方などには効果的だと思います。
太っている人が糖尿病やガンになりやすいので、その方が砂糖を人工甘味料に替えることによってガンの発症率を落とせる可能性もあるのではないでしょうか。
ただし、低カロリーと思い、たくさん使いすぎてしまうことは注意が必要です。

天然甘味料・人工甘味料、どちらを使用するかは、しっかり理解して選ぶ必要があります。
健康な体を維持するには天然・人工という括りではなく、自分の体にとって必要な甘味料や食材はどれかという視点も必要です。

次回のコラムでは、「食後高血糖」についてお話します。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
糖質制限アプリは、皆様の糖質制限生活を応援しています。

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